税務Q&A
インボイス制度~個人や免税事業者からの仕入税額控除~
2023年10月1日から適格請求書等保存方式(以下「インボイス制度」といいます)が開始となります。
インボイス制度が導入されると、個人や免税事業者、課税事業者であっても適格請求書発行事業者以外の者(以下、「個人等」)からの仕入れは、原則として仕入税額控除の適用ができなくなります。
6年間の経過措置(※)がありますが、2029年10月1日からは個人等からの経費は、原則として仕入税額控除が出来なくなります。
※区分記載請求書等と同様の記載事項が記載された請求書と帳簿を保存することで、仕入税額相当額の一定割合を控除することができる
取引の相手方である個人等が、今後取引先からの契約解除等を懸念して自ら課税事業者(適格請求書発行事業者)になれば、この仕入税額控除という問題は解消される可能性がありますが、税負担のある課税事業者に自らなるか疑問は残ります。
インボイス制度導入下でも簡易課税制度は有効となりますので、要件を満たし経済的メリットが本則課税よりあるのであれば、簡易課税制度を利用することも1つかと思います。
Question:役員や従業員に支給する祝い金や香典の取扱い
Answer
従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行などのために通常要する費用については福利厚生費となります。
また、役員や従業員に支給する費用で上記に類する様な慰安に係る費用は交際費ではなく福利厚生費と取り扱われます。
役員や従業員が結婚した際に結婚祝い金を支給する場合やお亡くなりになった場合の香典は、慰安の為の費用に該当する為、福利厚生費と取り扱われます。
※社会通念上不相当に高額な祝い金や香典は福利厚生費ではなく給与と取り扱われる場合がありますので、注意が必要です。
また、出産祝や病気見舞い金なども上記と同じように一定の基準に従って支払われる場合には福利厚生費と取り扱われます。
Question:ふるさと納税で節税をしたいのですが可能ですか?
Answer
ふるさと納税で節税するとお考えの方は良くおられますが、厳密にいえば節税にはなりません。
ふるさと納税により、お住まいの市区町村等以外への寄付をする事で、住民税の前払をしお得な返礼品を頂く制度になります。
その為、住民税の年税額がふるさと納税した分安くなるのではなく、前払し返礼品を受け取るというメリットがある制度となります。
また、ふるさと納税により年税額相当額の全額を寄付する事で返礼品を獲得するというのは出来ず、所得に応じた寄付上限が存在しております。
※上限を超えた分に関しては、住民税の前払効果は無く、単に寄付して返礼品をもらうのみとなります。
ご自身のふるさと納税を行う際には、上限額を確認し行う事で最も経済的メリット(お得感)は得られると思います。
Question:税込30万円の資産を購入しましたが、資産計上でしょうか、費用計上でしょうか?
Answer
資本金が1,000万円程度の小規模会社の場合、30万円未満の減価償却資産は一費用として処理が可能です。
※年間で積算300万円迄が上限額となります。
30万円未満かの判定は会社の消費税の会計処理が税込経理か税抜経理かで異なります。
① 税込経理の場合:税込金額が30万円未満かで判断
② 税抜経理の場合:税抜金額が30万円未満かで判断
Question:50万円の絵画を購入しましたが、会社に飾るので経費で処理できますか?
Answer
出来ません。
減価償却により費用にできない固定資産には次に掲げるものがあります。
下記の資産は時の経過と伴に価値が落ちるとは限らない為、減価償却により費用化することができず売却・廃棄又は返還されるまで、会社の資産として計上することとなります。
1.土地
2.電話加入権
3.絵画や壺などの骨董品で次に該当するもの
4.事務所や店舗などの賃借契約に際し支払う敷金や保証金で返還されるもの
5.ゴルフ会員権
6.その他、時の経過により価値が減少しない資産
Question:相続時精算課税により父より贈与を受けた土地に、将来小規模宅地の評価減は適用できますか?
Answer
小規模宅地等の評価減の特例は相続又は遺贈により取得した財産に対して適用できる事となる為、残念ながら今回のケースには適用出来ません。
※死因贈与の場合には適用できます。
相続時精算課税制度は、生前贈与した財産を相続財産に合算し相続時に精算する制度です。
適用できるのは60歳以上の父母または祖父母から20歳以上の子または孫へ財産を贈与した場合で、2,500万円までであれば贈与税が非課税になります。
※2,500万円を超える部分については20%の税率で贈与税が課税されます。
※相続時精算課税では、贈与者の死亡時の評価額ではなく、贈与時の評価額で相続税を計算します。贈与した宅地が値上がりすれば有利、値下がりした場合には不利になります。
相続時精算課税を適用すると低い税負担で生前贈与ができますが、評価額の高い土地を贈与すると小規模宅地の評価減の特例が適用できず損をするケースがありますので適用には十分シミュレーションをする必要が御座います。
Question:ロータリークラブ・ライオンズクラブの年会費は経費になりますか?
Answer
役員がロータリークラブやライオンズクラブの入会金や年会費は原則的には交際費に該当します。
入会金や会費は、実情を見れば会員が定期的に会合する際の食事代等に充てられていると考えられます。
会社の役員としてこれらに入会する目的は、異業種間の関係者等との懇親等を深めることが目的とする面も否定できません。
上記の現状を鑑み法人税の取り扱いではこれらの入会金や年会費は交際費と取り扱われます。
Question:代表者個人に支払った保証料は経費になりますか?
Answer
会社が銀行などから借入をする場合に、会社に担保となる資産がないことから役員の個人資産を担保て提供する場合があります。
法人税ではこういった場合に会社が役員個人に支払った保証料や担保提供料は適正な金額であれば損金算入を認めることとしています。
この場合の適正な金額の算定基準は、信用保証協会の保証料の算出基準である上限年利率とされています。
担保の対象となる借入金額に上限利率を乗じた金額を上限と考えて適正な保証料を計算して下さい。
また、社長個人に支払った保証料は社長個人の雑所得として所得税の課税対象となります。
Question:会計書類や申告書類の保存期間は何年ですか?
Answer
帳簿等の保存期間は会社法では10年間、税法基準では7年間となっています。
『税法基準での保存期間』
7年間
・現金出納帳、預金出納帳、総勘定元帳、仕訳帳、売掛金集計帳、 買掛金集計帳、手形帳
経費帳
・棚卸表などの決算資料
・領収書、請求書、預金通帳、小切手帳、借入返済表、各種契約書
・納品書、送り状などの軽易な書類
永久に保存する事をお勧めするもの
・決算書
・重要な契約書
・税務署や各種役所に提出した重要な届出書、許可証
Question:会社の役員に賞与(ボーナス)は支給できないとは本当ですか?
Answer
賞与を支払うことはできます。
役員報酬については、法人税法第34条において「支給時期が1か月以下の一定の期間ごとの給与」と定め、役員報酬と役員退職給与以外の報酬を、「役員賞与」という取り扱いをしています。
従来、法人税法では役員賞与については原則として損金不算入となっていましたが、会社法の施行により、条件付ながら役員賞与の損金算入を認められることになりました。
法人税法においては、「法人が役員に対して支給する給与のうち次の①から③に掲げる給与と退職給与に該当しないものの額は、その法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。(法人税法第34条) 」と規定し、ある枠を設け、その枠からはみ出たものは損金不算入と定めています。
① 定期同額給与(法人税法第34条第1項第1号)
② 事前確定届出給与(同第2号)
③ 利益連動給与(同第3号)
事前確定届出給与の届出をした上で賞与を支給することが損金算入できる唯一つの方法です。
詳細は顧問税理士等にご相談ください。
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