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租税特別措置法26条(概算経費の特例)は、社会保険診療報酬の年額5,000万円までを段階的に区分して、経費率を乗じて所得を計算する仕組みです。
適用した方がタックスメリットがあるケースが多いですが、下記事項につき注意する必要があります。
1.社会保険診療報酬は年間5,000万円以下(以下、基準額)であるか確認する時期
年間の社会保険診療報酬が確定するのは12月末の診療を終えないと、正確に判断できませ
ん。
※過誤訂正による正確な金額はレセプトからは判断できない為実際の通知書によ
る確認をする場合には自治体にもよりますが2月末になります。
基準額を1円でも超えると、適用不可となり所得計算に大きな影響を与えます。
超えた場合も想定して、事前に節税対策と考慮する必要があります。
2.専従者給与を必要経費に算入
青色申告の場合、家族に支払う給(以下、専従者給与)与は、事前に届出をする事で必要経費
に算入することができますが、概算経費率を用いたケースのほうが、有利になることがあり
ます。
また、支払った後で、概算経費のほうが有利だったとしても、専従者給与のその部分に関し
ては、取り消しが出来ない為、専従者給与にかかる所得税や住民税を考慮して考える必要が
あります。
3.自由診療収入
自由診療収入がある場合は、必要経費を社会保険診療と自由診療の固有経費と、共通経費と
に分けて、共通経費は按分して所得計算をします。
それぞれの収入割合や、経費の額によって、有利不利の関係が変動しますので、クリニック
毎に判断が必要となります。