税務Q&A
Question:個人確定申告に関し修正申告により予定納税基準額が15万円以上になった場合の予定納税は納税するのですか?
Answer
期限内に所得税確定申告書を提出し、後日、申告書等に誤りがあった為に修正申告を提出し予
定納税基準額が15万円以上になった場合は、新たに予定納税をする必要があるのでしょうか?
という質問ですね。
結論としては、修正申告書を、その年の5月15日後(5月16日以後)に提出した場合には、予定
納税基準額が15万円以上になったとしても、予定納税の必要はありません。
Question:仮想通貨(暗号資産)に関する確定申告時のポイントを教えてください。
Answer
この時期になるとお電話での仮想通貨(暗号資産)に関しての確定申告相談が増えますね。
仮想通貨(暗号資産)にかかる税金のポイントをざっくり列挙致します。
①仮想通貨取引による所得(利益)が20万円を超える場合は確定申告が必要になる可能性が
ある
②仮想通貨取引による所得は原則として雑所得に分類され総合課税となる
③雑所得はどんな特徴がある?
④損益通算禁止(仮想通貨同士での損益通算は可)
⑤損失が出た場合、他の利益と相殺できない
⑥損失の繰越控除禁止
※詳しくはお電話にてお問い合わせ下さい。
Question:今期業績は黒字であったのに、お金が増えていないのは何故?
Answer
経営者の方が良く抱える疑問かと思います。
ざっくりですが、このように感じた場合には以下の点を確認してみてください。
①売掛金は増加していないか?
期末間近に大きな売上があった場合や、手形の発行を受けた場合には、売上計上がされる
ものの資金回収や翌期になる事があります。
②固定資産の取得や設備の取得は無かったか?
高額の固定資産や設備の取得は、資産計上され耐用年数に応じて減価償却(費用化)される
事となります。その為、業績は黒字であるのは、減価償却により費用化は先延ばしである
が、お金は先に流出していく為です。
③保険積立金は増加していないか?
法人契約での生命保険は1/2や1/3が保険積立金として資産計上され、費用になっている
金額が少ないケースがあります。
この場合に、支払ったお金の方が経費になっている金額より大きい為、お金が増えていな
い感覚になる原因です。
④借入金の返済はどの程度したか?
借金の返済における元本部分は資金流出しているものの、経費にはなっておらず今期の
利益には影響しない事となります。
上記以外にも、利益は出ているのに、お金が増えないOr減っているというケースは多々あり
ますのでご不明な場合には
弊所へご相談頂ければ分析や資金増加に繋がる検討をさせて頂きます。
Question:健康の為、ジムに通っていますが、医療費控除は適用できますか?
こちらのお問い合わせは最近よく頂くので、記事にさせていただきます。
結論としては、一定の要件を満たせば医療費控除の対象になります!
もちろん誰でもどこでも対象になるわけではなく、一定の要件はあります。
要件は以下の通りです。
1、医師の処方箋があること
2、厚生労働省に指定された施設に通うこと
3、週に1回以上継続して8週間に渡り運動すること
一つずつご説明します。
1、医師の処方箋があること
高血圧症、高脂血症、虚血性心疾患、糖尿病などの持病があり、医師より運動療法処方箋が発行された方
⇒生活習慣病であり、お医者さんに運動療法を勧められた場合。
2、厚生労働省に指定された施設を利用する
『厚生労働省 運動型健康増進施設一覧』で検索すれば厚生労働省の施設一覧があります。
対象になっている施設へ通う必要があります。
3、週に1回以上、継続して8週間に渡り運動すること
特段証明書はないですが、調査があった場合には通った履歴が残せていた方が良いです。
Question:決算賞与を支給したいのですが今期の経費に計上できますか?また社会保険料も経費計上できますか?
Answer
利益が生じている会社では従業員への貢献を考慮し支給される、よくある決算対策
(決算賞与)ですね。
支給が決算対象月内であれば経費計上は可能ですが、支給が翌月になると注意が必要です。
従業員賞与については、支給日の属する事業年度に経費にするのが原則ですが 、以下の要件を満たせば、未払計上した従業員賞与を経費とすることができます。
例:3月決算法人が3月末の決算仕訳で決算賞与を未払計上し、支給日は翌期になる場合です。
①.損金算入の要件
(1) 支給額を各人別に、かつ、同時期に支給を受ける全ての従業員に対して通知を
していること
(2) その支給額につき(1)の通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から1か
月以内に賞与を支給すること
(3) その支給額につき(1)の通知をした日の属する事業年度において損金経理を
していること
上記3要件を満たす決算賞与については、通知日の属する事業年度に経費処理(損金算入)
することができます。
では、さらなる決算対策として、上記①の要件を満たす未払の決算賞与について、
その社会保険料を未払計上して経費計上することは、結論を先に述べると、未払計上した決算賞与に係る社会保険料を未払計上しても、法人の支払債務が確定していないため損金算入することはできません。
法人税基本通達9-3-2にて、当該保険料等の額の計算の対象となった月の末日の属する事業年度の損金の額に算入することができるとされておりますが、賞与に係る社会保険料は支給を受けた日の属する月に標準賞与額に保険料率を乗じて計算する為、その標準賞与額が決定されるのは被保険者が賞与を受けた月ということになります。
Question:自動販売機収入がありますが、適格請求書(インボイス)の発行は必要なでしょうか?
Answer
令和5年10月1日から消費税にインボイス制度が導入されます。
インボイス制度がどの様なものかは下記の過去投稿をご確認下さい。
適格請求書発行事業者は、先方からの要求にインボイスを交付することとなります。
ご相談者の質問の内容ですと、いちいち自動販売機で買った方にインボイスを発行する事は難しいですね。
この様な場合に、インボイスの発行が困難な一定のものについては、その交付義務が免除され
ております。免除されるものは、下記の通りです。
①公共交通機関である船舶、バスまたは鉄道による旅客の運送として行われるもので、1回
の税込み取引金額が3万円未満のもの
②自動販売機や自動サービス機での販売で3万円未満のもの
③郵便ポストを利用した配達サービス
④卸売市場、農業協同組合または漁業協同組合等が委託を受けて行う農林水産品の譲渡等
(農業協同組合または漁業協同組合等については、無条件委託方式・共同計算方式に
よるものに限られる。)
Question:法人化(法人成り)するメリットやタイミングを教えてください。
Answer
『法人化のタイミング』
法人化のタイミングは業種・売上規模・利益額・取引先規模・人員により、その方毎に大
きく異なりますので、端的に売上がいくらになったら法人化がお勧めとは言えない為、
面談等により詳細を聞かせて頂ければお答えが出来ます。
『メリット等』
法人化検討されるお客様の多くは信用力よりも節税対策を目的とされるが殆どかと
思います。
法人化によるメリットは簡単に申し上げますと以下の5つがあります。
①所得税の節税ができる
②家族の給与を経費にできる
③配偶者控除や扶養控除も受けられる
④赤字を出した場合は最大10年繰越できる
⑤消費税の課税事業者になるタイミングを遅らせられる
※ここでは1つ1つの内容のご説明は割愛しますので、ご興味があればご連絡を頂ければと
思います。
法人化=節税と考えがちですが、デメリットもあるので注意が必要です。
法人化をするデメリットは全部で4つあります。
①法人の設立必要がかかる
②社会保険への加入義務がある
③赤字でも住民税を支払わなければならない
④税理士を雇う必要がある
法人化やメリットデメリットでご質問のある方は面談やお電話等でご説明をさせて頂きます
ので、お気軽にご連絡下さい。
Question:金融所得課税が増税する本当ですか?
Answer
先日、社長との雑談でこんな質問を頂きました。
政権交代がありましたが、金融所得課税は現状先送りになりましたので増税はまだ先の話です。
しかし、金融所得課税の強化が進み現状税率20%(内住民税5%)が増税になれば、株式売却・FX・配当等による収益を得ている方には大きな影響があるかと思います。
通常の給与所得や事業所得は累進課税の為、所得が上がるに連れて税率も上がりますが、上記金融所得は分離課税(一律20%)の為、キャッシュリッチの方は投資を行いお金を増やす事をされている方も多くいます。
個人の見解ですが、増税になればシンガポールや香港等の様な税金の安い国へ移住される方も増えるだけでなく、上場を目指し創業し株式売却により大金取得を夢見る野心家も減ってしまうのではないかと思います。
老後2,000万円問題や貯蓄の為、NisaやiDeCoを推奨してきた経緯もある中で、上記増税するとなれば、何がしたいのか、、、、
高所得者の海外移住による、一般所得の方に税の負担が大きくなる様な将来は避けて頂きたいものです。
Question:法人名義の車をプライベート利用した事に関して税務調査で指摘されたのですが何かアドバイスはありますか?
Answer
法人名義の車などの資産を社長がプライベート利用していた場合、 税務調査でその車に係る減価償却費を否認され、 認定賞与となって源泉所得税を課税されるというケースのご相談ですね。
この車が高級外車やクルーザーや航空機の場合が多いのですが、「普通の車」で 否認指摘を受けたというケースもあります。
まず、ここで前提として理解をしておかなければならないのは、所得税法と法人税法では、プライベート利用があった場合の取り扱いが異なるという事です。
所得税に規定されている必要経費の概念は、37条あり、45条でその中で家事費および家事関連費は必要経費にならないと規定されています。
所得税における事業所得の計算で必要経費に算入できるのは、車両等の資産の減価償却費のうち、『家事費部分を除いた割合』だけとなります。
※70%が業務の用に供していて、30%が個人的利用なのであれば、70%部分が減価
償却費として必要経費
法人税法第31条では、法人が所有する資産は下記の様な取り扱いになり、所得税とは異なるのです。
・減価償却費として損金経理
・その分だけ損金になる
※大袈裟に言えば、法人が有する資産であれば、法人の減価償却費になり、一部のみ損金にならないということはありません。
それでは、会社名義であれば、プライベート利用しても問題ないのかというと違います。
調査での指摘事項で減価償却費否認及び源泉所得税徴収漏れの指摘であれば、上記法人税法31条の解釈で抗弁できますが、この場合、課税庁は『行為計算の否認』で指摘をしてくるかと思います。
上記より、所得税では事業割有に応じて必要経費に算入、法人税では、100%経費か、100%経費否認かの何れかになる事になり
判例(平成7年10月12日、非公開裁決)では、「スポーツカーとモーターボートの事業供用」が問題になりました。
※ざっくりいえば儲かっている法人が高級車やクルーザーを保有していて減価償却してい
ましたが、税務調査で否認され、認定賞与として課税された事案です。
採決では高級車は損金として認められ、クルーザーは認められませんでした。
上記より、法人に対する税務調査において、「車両の減価償却費は役員がプライベート利用されていますから30%だけ否認します」
という指摘をしてきた場合は、法人税法第31条を根拠にと反論することが可能なのです。
では、法人は本当に0%か100%かと聞かれると、実は否認する方法は他にもあります。
社用車をプライベート利用した際の『使用料を計上させる』ことです。
法人の使用料としての益金を雑収入の計上漏れを指摘する方法です。
使用料の適正額を見積もるのは難しいと思いますが、その指摘については抗弁のしようがありません。
私の経験上は一部だけ減価償却費を否認指摘されたケースはすべて反論しましたが、身近の友人(税理士)の税務調査で使用料を指摘されたケースがあった様なので、今後同様の指摘が増えていくかと思います。
対策としては、事前に社用車とプライベート車できっちり使い分けるか、一定額・一定頻度等のプライベート利用を規程しておくかで対策は可能かと思います。
Question:私のクリニックの社会保険診療報酬は年間5,000万円以下なので、概算経費の特例を適用しようと考えていますが、留意点を教えてください。
Answer
租税特別措置法26条(概算経費の特例)は、社会保険診療報酬の年額5,000万円までを段階的に区分して、経費率を乗じて所得を計算する仕組みです。
適用した方がタックスメリットがあるケースが多いですが、下記事項につき注意する必要があります。
1.社会保険診療報酬は年間5,000万円以下(以下、基準額)であるか確認する時期
年間の社会保険診療報酬が確定するのは12月末の診療を終えないと、正確に判断できませ
ん。
※過誤訂正による正確な金額はレセプトからは判断できない為実際の通知書によ
る確認をする場合には自治体にもよりますが2月末になります。
基準額を1円でも超えると、適用不可となり所得計算に大きな影響を与えます。
超えた場合も想定して、事前に節税対策と考慮する必要があります。
2.専従者給与を必要経費に算入
青色申告の場合、家族に支払う給(以下、専従者給与)与は、事前に届出をする事で必要経費
に算入することができますが、概算経費率を用いたケースのほうが、有利になることがあり
ます。
また、支払った後で、概算経費のほうが有利だったとしても、専従者給与のその部分に関し
ては、取り消しが出来ない為、専従者給与にかかる所得税や住民税を考慮して考える必要が
あります。
3.自由診療収入
自由診療収入がある場合は、必要経費を社会保険診療と自由診療の固有経費と、共通経費と
に分けて、共通経費は按分して所得計算をします。
それぞれの収入割合や、経費の額によって、有利不利の関係が変動しますので、クリニック
毎に判断が必要となります。