相続税の基本知識①
【相続税とは?基本概要を理解しよう】
相続税は「相続税法」に基づき、様々な規定が定められています。
その根本には「富の再配分」という基本思想があり、貧富の差を緩和させるという経済政策が含まれています。
相続税は、遺産全体の規模、法定相続人の数、各人が取得した財産の額などにより計算されます。一般的には、取得する財産が多い人ほど、納付する相続税も大きくなります。
ただし、国税庁の「令和6年分 相続税の申告事績の概要」によると、相続税の課税対象となる人は全体からみると10%と少数ですが、近年その割合は上昇傾向にあります。
ではなぜ「相続」は誰でも発生するものなのに、「相続税」を支払うのは一部の人だけなのでしょうか。
これは相続税には「基礎控除」といって、一定額までは相続税がかからない仕組みが設けられているためです。
【相続税の基礎控除とは】
基礎控除額は次の計算式で求めます。
【3,000万円+600万円×法定相続人の数】
例えば、法定相続人が妻と子3人の場合、3,000万円+600万円×4人となるので、基礎控除額は5,400万円です。
課税価格の合計額が5,400万円以下であれば、原則として相続税はかからないことになります。
相続税は、単純な遺産総額ではなく、債務・葬式費用・非課税財産・一定の生前贈与などを調整した後の「課税価格の合計額」をもとに計算します。課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いた金額を「課税遺産総額」といい、この金額をもとに相続税の総額を計算します。
【法定相続人とは】
相続税の基礎控除の計算式で算入される法定相続人は、民法で次のように定められています。
常に法定相続人:配偶者
第1順位:子(子が亡くなっている場合は孫)
第2順位:父母などの直系尊属
※父母のいずれかが生存している場合はその人が相続人となり、父母がいずれも亡くなっている場合には祖父母など、より上の世代が相続人となります。
第3順位:兄弟姉妹(兄弟姉妹が亡くなっている場合は甥姪)
なお相続税の基礎控除額の計算では、法定相続人の数の算定で次のような点に注意が必要となります。
- 相続放棄をした相続人がいても、相続放棄がなかったことにして法定相続人を数えます。
- 実子がいる場合は養子は1人まで、実子がいない場合は養子は2人まで法定相続人に加えることができます。
【法定相続分とは】
ここまで、相続税の基礎控除を計算するために必要な「法定相続人」について説明しました。次に各相続人がどのような割合で遺産を相続するかを示す「法定相続分」について確認します。
法定相続分とは、相続人が、被相続人の遺産をどのくらい相続することができるのかについて、民法が定めている一定の割合のことです。
法定相続分は、被相続人の遺産をどのように分けるべきかについての目安となるものです。
| 相続人の組み合わせ | 法定相続分 |
| 配偶者と子 | 配偶者1/2、子1/2 |
| 配偶者と父母など | 配偶者2/3、父母など1/3 |
| 配偶者と兄弟姉妹 | 配偶者3/4、兄弟姉妹1/4 |
| 配偶者のみ | 配偶者が全部 |
| 子のみ | 子が全部 |
| 父母などのみ | 父母などが全部 |
| 兄弟姉妹のみ | 兄弟姉妹が全部 |
①配偶者の法定相続分
- 配偶者と子が相続人の場合:配偶者は遺産の2分の1を相続します。
- 配偶者と親が相続人の場合:配偶者は遺産の3分の2を相続します。
- 配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合:配偶者は遺産の4分の3を相続します。
- 配偶者のみが相続人の場合:配偶者は遺産の全てを相続します。
なお、法定相続人としての配偶者は、被相続人が亡くなった時点で、法律上の婚姻関係にある者を意味します(事実婚の配偶者は含まれません)。
②子や孫など直系卑属の法定相続分
配偶者と子が相続人の場合:子(もしくは孫など)は遺産の2分の1を相続し、複数人いる場合はその中で等しく分けます。
子のみが相続人の場合は、子が遺産の全てを相続し、複数人いる場合には原則として等しく分けます。
被相続人の子がすでに亡くなっている場合には、その子の子である孫が代わりに相続人となります。さらにその孫も亡くなっている場合には、ひ孫が相続人となります。
また、この第1順位の子として考慮される範囲は、実の子だけではありません。例えば、法的に認知された子や養子縁組を通じて家族となった子も、第1順位者となります。
③親や祖父母など直系尊属の法定相続分
配偶者と親が相続人の場合:親は遺産の3分の1を相続し、複数人いる場合はその中で等しく分けます。
親や祖父母のみが相続人の場合:親や祖父母は遺産の全てを相続し、複数人いる場合はその中で等しく分けます。
もし第1順位の子がいない場合、次に相続の権利が生じるのは被相続人の親です。しかし、その親もすでに亡くなっている場合には、存命の祖父母が相続人となります。
④兄弟姉妹の法定相続分
配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合:兄弟姉妹が複数人いる場合は、原則として等しく分けます。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹がいる場合には、その相続分は父母の双方を同じくする兄弟姉妹の2分の1となります。
被相続人に第1順位や第2順位の相続人がいないとき、次に相続の権利が生じるのは兄弟姉妹です。しかし、もし兄弟姉妹もすでに亡くなっていたら、甥や姪が相続の対象となります。
ただし、甥や姪も亡くなっている場合、その後の世代には相続する権利はありません。
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