税務Q&A
Question:語学留学中の役員の子供は留学後当社に入社する予定で、英語を必要とする部署に配属されるのですが、税務上何か問題が生じますか?
Answer
会社が役員や使用人又はこれらの者の子弟の修学のための学費等を負担した場合には、役員又は使用人に対する給与として取り扱われます。
ご質問の場合、ご子息の留学費用は役員に対する役員給与として取り扱われることになります。
この役員給与は定期同額給与には該当せず、法人税の計算上損金不算入(経費とならない)となります。
また、役員個人には役員給与が発生しますので源泉所得税の対象とされ、所得税及び住民税は増額となります。
Question:役員退職金はいくらでも良いのでしょうか?
Answer
会社が退任した役員に支払う役員退職金は会社の費用として原則損金算入が認められます。
ただし、同族会社の場合には役員退職金は利益調整項目として利用される場合が多い為、
法人税では過大に支払った役員退職金に対して損金算入(経費計上)に制限を置いています。
損金に算入されない(経費計上が認められない)退職金は、過大とみなされた部分の退職金額で
税務上認められた退職金部分は損金に算入されます。
税務上役員退職金として認められる額の算定方法は「功績倍率法」と「1年当たり平均額法」の
2つの方法が過去の裁判例では使われています。
※下記の算式は税法上定められている算式ではありません。
①功績倍率方・・・最もよく使用される方法
役員退職金額 = 退職時役員報酬月額 × 役員在任年数 × 功績倍率
あくまでも一般的に用いられている算式であるため、ほかに妥当と思われる基準で支払われ
る退職金であれば税法上も認められる場合もあります。
功績倍率は、昭和55年の裁判にて、国が示した下記倍率が採用される場合が多くなってい
ます。
「社長3.0、専務2.4、常務2.2、平取締役1.8、監査役1.6」
※役員退職金規定にて、会社に対する特別な功労があった場合の加算を設けている
ことがありますが、功労加算については、ほとんどの場合認められていないので
注意が必要です。
②1年当たり平均額法・・・その役員が退職直前に体調不良などにて、報酬が極端に減るなどとい
った特別な事情がある場合に使用される方法
役員退職金額 = 同種・同規模法人の1年当たり退職金額の合計額 ÷ 同種・同規模法人の数
× 勤続年数
Question:海外出張に妻を連れいていく場合の旅費の取り扱いはどうなりますか?
Answer
役員等が海外出張に役員の家族を同伴する場合もあるかと思います。
出張が長期に渡ったりする場合には奥様がいると身の回りのことを任せることが出来る為、一緒に海外に出張する役員います。
法人税では、会社が出張者の同伴者の旅費を負担した場合、例え出張が会社の業務遂行上必要と認められる場合であっても、その同伴者分の旅費は原則として役員又は使用人に対する給与・賞与(会社の経費にはならず、個人の所得税等は生じます。)として取り扱うこととなっています。
法人税ではこのような出張者の家族の旅費については原則賞与なりますので役員に対するものである場合には損金算入できません。
例外的に下記3つに該当すれば損金算入を認めることにしていますが、通常の場合にはほとんど該当することはないと思われます。
① 役員が常時補佐を必要とする身体障害者であるため補佐人を同伴する場合
② 国際会議への出席等のために配偶者を同伴する必要がある場合
③ 旅行の目的を遂行するため外国語に堪能な者又は高度の専門的知識を有する者を必要とする場合
に、適任者が法人の使用人の内にいない為、その役員の親族又は臨時に委嘱した者を同伴する時
Question:従業員へ昼食を提供すると給与になるって本当ですか?
Answer
会社が従業員や役員に無料で昼食を提供することは、原則として、その食事代が給与として取り扱われます。
(残業や宿直をした場合の食事を提供する事につき、就業規則等の規定で明示している場合は福利厚生費で処理ができます。)
その為、会社は源泉所得税を徴収しなければならず、失念すると税務上の問題があります。
但し、例外として下記要件を満たせば給与として課税はされず福利厚生費で処理が可能です。
(1) 役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること。
(2) 次の金額が1か月当たり3,500円(消費税及び地方消費税の額を除きます。)以下であること。
(食事の価額) - (役員や使用人が負担している金額)
この要件を満たしていなければ、食事の価額から役員や使用人の負担している金額を控除した
残額が給与として課税されます。
なお、上記(2)の「3,500円」以下であるかどうかの判定は、消費税及び地方消費税の額を
除いた金額をもって行うこととなりますが、その金額に10円未満の端数が生じた場合にはこれ
を切り捨てることとなります。
Question:サラリーマンから会社を設立しましたが、設立前1か月に売上や費用が発生した場合は個人事業か会社として申告かどうすれば良いか?
Answer
個人事業から法人成りした場合を除き、会社設立準備中など会社設立日前1月以内の売上や費用は個人事業の売上・費用とせず、会社の1期目の売上・費用に含めて申告することが出来ます。
法人税では、設立準備中の費用や売上を個人事業主として申告することは手数がかかり、また、一般的に取引金額も小さいと考えられるので、通常要すると考えられる設立期間を超える場合や、個人事業主⇒法人成りの場合を除き、法人の設立登記前の損益は設立事業年度に含めて申告した時にはこれを認めるとしています。
但し、それが費用の場合には開業準備費用だと説明できるようにしておくことが大切です。
Question:会社のお金で個人的なものに支払った場合どのようになりますか?
Answer
社長が会社の資金から個人的な支払をすると役員貸付金又は、不定期な役員給与(経費になりませ
ん)とされ、金額によっては源泉所得税の徴収漏れとなります。
実務的な対応策としてはお問合せ下さい。
Question:役員報酬を変更したいのですが、どのようにしたら良いでしょうか?
Answer
同族会社では不定期での支給や、変動する役員報酬は一定のものを除き損金不算入(税金の計算上経費とならない)となっています。
その為、役員に対して毎月支給する給与は同額でなければ原則として損金算入(経費計上)されません。
単に役員報酬を変更する場合には、事業年度開始3月以内(4月1日~3月31日事業年度の会社の場合には4月~6月末までとなります。)に変更しないと変更後の増額又は減額された部分は損金不算入となります。
役員報酬を変更する場合には次の3パターンの場合のみ不定期な給与として取り扱わないことされています。
① 事業年度開始3月以内の変更
事業年度が開始して3月以内に役員報酬を変更し、かつ株主総会等の決議を受けている場合
② 臨時改定事由による変更
役員の職制上の地位の変更(代表取締役の変更など)など職務内容に重大な変更があった場合
③ 経営状態の著しい悪化による変更
会社の経営状態が著しく悪化した為役員報酬を減額した場合
(単なる売上の減少や一時的な資金繰りの悪化ではこの事由にはあたらないとされています。)
ここまではざっくりと概要での記載となります。
個別事情や詳細のご相談は、別途メール等でご連絡を頂ければと思います。
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