医師や歯科医師が個人で開業する場合や医療法人を設立する場合、会計入力(記帳)や税務等は税理士へ依頼する事をお勧め致します。
医業会計や医業に対する税法の規定は、通常の個人事業や一般法人(株式会社など)とは異なり、使用する勘定科目やレセプトでの保険請求に係る過誤調整があり記帳処理でも特異性があります。
更に、決算終了後3ヵ月以内に都道府県知事に事業報告書を提出する必要があり、また、事業年度ごとに法務局への『資産の総額の変更登記』が必要となります。
ここでは、以下の内容について記載します。
当事務所では、個人クリニックから医療法人の設立相談・サポートが可能です。
複数クリニックを展開する医療法人等の担当実績のある税理士が対応しますのでお困りごとがありましたら、お気兼ねなくご相談下さい。
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医業の概算経費
医師・歯科医師(柔道整復師、あんま師、はり師、きゅう師などは含まれません。)は、社会保険診療報酬(※)が年5,000万円以下(事業所得にかかる総収入金額が7,000万円以下)の年分の所得計算ついては、いわゆる「概算経費率」による計算を行うことができます。
これは実際の経費額を概算経費額が上回る場合には、上回った金額を実際の経費額に上乗せできるという制度で非常に有利になる規定です。
(医療法人でも同様の規定がありますが、役員報酬計上で概算経費が有利になる事が少ない為、医療法人のご説明が割愛致します)
※健康保険法、国民健康保険法、船員保険法、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、介護保険法 など
ここでいう『概算経費額』は以下の様に段階的に変わってきます。
①社会保険診療報酬 |
概算経費額 |
2,500万円以下 |
①×72% |
2,500万円超 3,000万円以下 |
①×70%+50万円 |
3,000万円超 4,000万円以下 |
①×62%+290万円 |
4,000万円超 5,000万円以下 |
①×57%+490万円 |
5,000万円超 |
適用無し |
当事務所へご相談頂くお客様で多いのは、概算経費を使用しているにも関わらず、奥様等への専従者給与を支給している場合があります。特別なご事情を除き、概算経費を使用している場合には、専従者給与を支給しない方が、専従者給与からより生じる所得税・住民税・年金保険料等が発生しない事となり、節税効果があります。
概算経費が使用できる個人開業のお客様は、専従者給与・実額経費等を考慮し判断する必要がありますので、当事務所へご相談頂ければシミュレーションを致します。
固定資産税の減免措置
医師や歯科医師が診療の為に購入等をした固定資産についてが、通常固定資産税が課税対象になります。
しかし、自己所有物件で開業している場合には、固定資産税が減免される制度があります。
この減免措置は、家屋に対しての減免が基本ですが、一部の自治体では償却資産税に対しても適用できる場合があります。
尚、この減免措置を受ける為には以下の内容につき確認をする必要がります。
- 開業地の自治体が減免措置を行っている自治体であるか確認する事
- 減免申請書を提出する事
医業収入に係る事業税は非課税
事業税は、地方税法に基づき、法人の行う事業及び個人の行う一定の事業に対して、その事業の事務所又は事業所の所在する道府県が利益に対して課す税金です。
その為、一般の法人や個人事業から生じた利益(所得)に対しては、事業税が課税されます。
しかし、ざっくり申し上げますと、保険診療から生じた所得に対して事業税は非課税となります。(個人診療所も医療法人も同じ扱いです。)
※この事業税の非課税の規定は医業、歯科医業、薬剤師業、助産師業、あんま、マッサージ指圧、はり、きゅう、柔道整体など医業を行う者の個人事業税につき適用できますので、『概算経費』の対象とは異なります。
医療法人の税務申告以外にやるべき事
医療法人も一般の法人と同様に、決算月から2月以内に税務申告をし、行い納税を済ませる必要がありますが、それ以外に下記2つのやるべき事があります。
- 資産の総額の変更登記
医療法人は、毎事業年度末日現在の資産の総額を、その会計年度終了後2ヶ月以内に登記する必要があります。(資産の総額とは資産から負債を差し引いた純資産です) - 事業報告書等の提出
医療法人は、事業年度終了後3か月以内に事業報告書等を都道府県に届け出なければなりません。
当事務所では、医療法人が毎年行う全ての行事に対し、各専門家と連携しワンストップでサポートさせて頂きますので、お気軽にお問い合わせください。